満月

魔術は人類の誕生とともにありました。
魔術は人類存在の証明が遡ることのできるかぎり古くからあり、宗教、芸術、建築、産業、科学、そしてさまざまな政治制度や、社会制度に影響を及ぼしてきました。
しかしその祖先は先史時代の霧と雲に覆い隠されています。

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魔術とはどういったものか

魔術は人、自然、そして神に対し直接的、自然発生的影響を及ぼすと信じられているさまざまな行為を通じ、力を行使しようとする試みです。
魔術の歴史を宗教あるいは科学の歴史から完全に切り離すことはできません。
経験に対する宗教姿勢、科学的姿勢、魔術的姿勢は理論上互いに異なります。

宗教的衝動は崇拝行為、科学的衝動は説明行為、魔術的衝動は支配的、命令的行為という具合になります。
しかしこれらの姿勢は実生活では別々の場を与えられているのではなく、境界はしばしばあいまいです。

はるかむかし、不思議なものはすべて魔術的、あるいは宗教=魔術的でした。
このことは人についてもその環境についても真実でした。
たとえばホメロスでは「その原因が当人の意識によっても、また他社の観察にとっても知覚しえぬ、通常の人間の行為から乖離した行為は、ちょうど通常の天候あるいは通常の弦の具合からの逸脱と同様に、すべて超自然的な力に帰せられる」とあります。

魔術はこれら超自然的な力をコントロールしようとします。
魔術はなぜ、あるいはいかに働くかではなく何が働くかにいっそう深く関わります。
魔術では正しい手順を踏めば望ましい結果を得られます。
そうならないとすれば「正しい手順が踏まれなかった」ということになります。

正しい手順とはその経験が望ましい結果と結びつくような手順です。
古代エジプトではナイル川の氾濫が確実に起こるよう毎年さまざまな儀式が催されました。
同様に雨乞いの儀式を行うさまざまな原始的社会は、それを必ず雨季の初めに行い乾季の最中に行うことはありませんでした。

それらの儀式はものの正しい秩序への人間の貢献です。
この秩序には季節ごとに新たに雨が降るという現象も含まれていました。
それらの儀式を排除することは正しい秩序を乱すことで、ことによると雨が降らないことにもなります。

こういう背景に照らし合わせると、人が魔術を信じるもっとも単純な理由は、魔術が、つねにではないとしても、信仰を抱かせる程度には働くからです。
ナイル川はいつも氾濫を起こします。

雨はつねに降り注ぎます。
そして魔術に対する信仰が、それを働かせる原因となります。
病人を癒すための呪文が唱えられ、病人がそれを信じると、彼の信仰が彼の回復を助けることになるかも知れません。

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